「北海道（道央・道南）５日間の旅」

　羽田を６時５５分に離陸したエアﾄﾞウ０３１便は、旭川空港に、予定より１
０分早く８時２５分に着陸した。ここで、待ち合わせた札幌にお住まいの家族
と合流し、車で９時に出発。旅の初日は、念願の美瑛・富良野に向かう。

　私たちは、川崎で早朝４時起きでの自宅を出発、たまプラーザから羽田空港
直行バスを利用する。第三京浜都筑ＩＣから横浜経由の湾岸線で空港第２ター
ミナルまで５０分で到着する。早朝の横浜からの湾岸線のドライブは、北海道
の旅への期待を膨らませるのに十分である。因みに、私は、６０歳以上割引の
シニア６０の運賃は通常運賃の４２％の１１，１００円で、定年退職者にはあ
りがたい。妻は、６０歳未満で、４５日前に予約する割引で（金曜日出発）で
１２，４００円、その割引分、北海道で美味しいものが食べれそうである。

　一方、札幌にお住まいの方も、６時に家を出られ、高速を跳ばして約束の時
間９時少し前に到着した。初日から、盛りだくさんの、かなり、きつい日程だ
が、その分、美瑛・富良野を満喫できる。いよいよ、楽しみの北海道旅行のは
じまりである。

参考文献：「札幌・小樽・函館・富良野」アイじゃぱん

　私にとって、北海道は４回目である。２７年前に、家族で、道央から道東の
パッケージツアーで旅したのが最初で、２００４年夏には、自由にコースを決
めて、釧路湿原・知床半島の旅を楽しんだ。それ以外に、仕事の関係で道東を
回ったことがある。

　今回の北海道旅行は、これまで回ったことがないところを訪れるコースを計
画したこと、前半の２泊３日は、この地に赴任している家族と車で、一緒に旅
したこと、そして、６月という時期に旅したことに、大きな特徴がある。

　定年退職して２年、当然、お金に余裕が無い生活である。できる限り、安く
したいという事情と、先方の家族の都合の関係で、３月に６月中旬の日程が決
まった。行き先は、これまで行ったことが無かった美瑛と富良野、そして、旭
山動物園から札幌・小樽・函館を回ることを考えたが、地球の胎動が感じられ
る有珠山・昭和新山にも行ってみたくなり、そこを加えることで、かなり欲張
ったコースになった。定年退職者の身、時間はあるが、金は無い、それからは
具体的な日程を決めるために、毎日のような、インターネットでの情報収集を
行った。旅行は、この企画段階が一番面白い、実際の旅行はその検証で、企画
どおりであった場合の感激は、してやったりと、旅行企画の醍醐味である。た
だ、旅行は、現地に行ってみないとわからない部分がある。その未知の世界へ
の探訪は、なんといっても旅行の最大の魅力である。

　６月中旬と言えば、関東は梅雨時であるが、梅雨の無い北海道は、この時期
は、通常ならば好天に恵まれる時期、ところが、今年はなぜか、天気が良くな
い。出発前１週間は、北海道の天気予報を毎日、チェックしたが、どうも、思
わしくないようであった。

　また、富良野の花の観光カレンダーによると、ラベンダーは、７月にならな
いと咲かない。他の花は、それなりに咲くようであるが、花のシーズンには、
６月中旬は全体的に少し早いようである。そうは言っても、富良野に今回は是
非行きたいという想いは強い。最大の目的の富良野の姿が見えないでいたが、
富田ファームには、温室栽培のラベンダーを見ることができるということで、
富良野を起点とする基本日程が決まった。

　基本日程が決まれば、あとは、宿と食事どころを決めることになる。宿は、
そこそこで、食事は、その土地の自慢のものを食べたい。そんなことで、宿は
美瑛のパッチワークの路の真っ只中にある小さなホテル、洞爺湖温泉の湖畔の
伝統ホテル、函館駅前の便利なホテルに、札幌の先方のお宅にお世話になるこ
とにした。食事については、富良野のワインハウス、旭川ラーメン、サッポロ
ビール園、小樽の寿司屋、函館の夜景を見ながらの最後の夜のディナー、朝市
での朝食とすぐに決まっていった。

　コースの前半は、この地にいらっしゃる家族の車に同乗させていただくこと
で、効率的に回ることができた。なんといっても、車の行動力は、きめ細かく
目的地を回るためにはありがたい。早朝の安いフライトを利用したために、私
たちは、羽田空港からは６時５５分発のエアﾄﾞウで、旭川空港に８時３５分着
である。それに乗るために４時起きでの出発であった。一方、札幌にお住まい
の方も、６時に家を出られ９時に空港で落ち合うという、かなり、きつい日程
となった。

　エアﾄﾞウの利用は初めてであり、私がシニア６０割引を利用し、妻が４５日
前に予約することで、最も低料金で希望の便の窓際の隣席を確保した。

　後半は移動にＪＲを利用し、洞爺湖温泉ではバスとタクシー、函館では、市
電が足であった。函館の市電は、中心部を走っており、まさに、市民の足とな
っているようで、手軽に、目的地の近くまで行くことができる。かって、利用
した昔懐かしい京都の市電を思い出しながら、地上で乗り降りできるこの公共
交通機関のありがたさを再認識した。

　北海道は広い。今回設定したコースは、道央から道南へ向かうもので、前半
は高速道路で移動し、後半は、ＪＲで大きく移動した。そして、後半の洞爺湖
温泉と函館では、その地域にあった交通機関を利用した。事前に、路線と、時
刻表の確認が行っていたために、大きなトラブルは無かった。

　旅の宿の選択は、その旅の評価に大きなウエイトを占めている。初日の美瑛
・富良野では、美瑛の「パッチワークの路」の真っ只中にある家族的なホテル
（ポテトヴィレッジ美瑛ポテトの丘）を、インターネットで問い合わせながら
２家族の２室を確保した。洞爺湖温泉では湖畔の伝統ホテルを、函館では、函
館駅前の交通の便利なホテルを選んだ。洞爺湖温泉のホテルは有珠山ロープウ
エイのチケットセットプランであり、函館のホテルは、函館開港１５０周年記
念プランで、素泊まりである。いずれも、比較的低料金ではあるが、必ずしも
レベルが落ちるところではない。また、札幌での宿泊は、現地にお住まいのお
宅に泊めていただいた。そして、ホテルの予約はすべてインターネットで直接
行った。

　ただ、都市部のホテルは別にしても、いわゆる、観光地のホテルは、北海道
に限らないが、客の獲得に苦労されているようである。洞爺湖温泉のホテルは
お世話になった客室担当者は中国の大連出身の方で、日本語を上手にお話にな
る。お客様の大勢は、中国人の団体さんのようで、大浴場の入浴時のふるまい
など、私たちとは、幾分違うようである。こうした方々なくして、日本の観光
地は成り立たないのであろう。

　６月中旬と言えば、関東は梅雨時であるが、北海道は、梅雨は無く好天に恵
まれる時期である。ところが、今年はなぜか、天気が良くない。出発前１週間
は、北海道の天気予報を毎日、チェックしたが、どうも、雨模様の予報で、特
に、目玉の美瑛・富良野を訪れる１２日は、雨マークが付いていた。この天気
だけは、如何ともしがたいが、照るテル坊主でもつるしたいところであった。

　ところが、現地に着いてみると、美瑛・富良野を訪れるこの１２日は、少し
雲は多目であったが終日晴れたのである。日ごろの行いがよかったからだと、
勝手に、決めてしまう。

　ただ、翌日の旭山動物園は、雨こそ、少しぱらつく程度であったが、気温は
１２．７度、さる山のおさるさんが、数匹寄り添って暖めあっていた。その後
の、札幌、小樽も同じような天気であった。道南の洞爺湖温泉と函館は、雲の
多い天気で、有珠山の山頂へのロープウエイは、途中から霧の中であった。函
館山の展望台レストランを予約していたが、最初は、やはり、頂上部を覆う雲
の中。やはり、日ごろの行いがよかったのか、雲が風に流されて、しばしであ
ったが、函館の夜景が楽しめた。これほど、気象の変化に振り回された旅行は
始めてである。最悪を覚悟していただけに、全体としては、安堵の５日間であ
った。

　函館空港を、行きと同じエアドウの１６時４５分発の便で、北海道との別れ
を惜しん帰途に着いた。帰り着いた羽田空港から自宅までも少し雨交じりであ
ったが、帰宅を待っていたかのように、土砂降りの梅雨の雨が降り出した。