「北海道５日間の旅（函館山展望台からの夜景）」

　いよいよ、今回の北海道旅行も最後の夜を迎える。最後の夜は、函館の夜景
を眺めながら、函館山展望台の夜景の見えるレストランで食事と決めた。窓側
席の予約は、１日３組までコース料理のみということで、５０日前の４月２５
日に予約を終えた。少し高い和洋ディナーコースを奮発した。

　■前菜　三種の盛り合わせ。
　■刺身五種の盛り合わせ
　■鮮魚のポワレ スープ仕立て
　■フォアグラのポワレ イタリアン風
　■アワビの軽いソテー
　■道産牛のサイコロステーキ
　■二色丼
　■デザート・コーヒー

　函館のホテルに到着後、函館山の様子をまず聞いたが、山頂は雲がかかって
いて、視界が開けない。もう少しすれば、雲が流されるかもしれないとの話。
標高３３４ｍの大して高くない山だが、頂上からの眺望が売りである。ただ、
高くないといっても、頂上付近は、一般的に上昇気流の影響で雲ができ易い。
事態は、そう、楽観的ではないかもしれない。

　私たちは、山頂展望台のレストランでの食事を予約しているのだから、選択
の余地は無い。元町エリア散策の後、勝手な神頼みに期待して、ロープウエイ
で函館山に登った。

　やはり、展望台は視界が利かなかった。予約した時間に少し早かったので、
たまたま、展望台内のクレモナホールで、「歴史と光の街〜函館」が上映され
ていたので、せめてもの登った証になればと、勉強のためと時間つぶしに観る
ことにした。入場者は我々だけの貸し切り同然だったが、函館の歴史と、夜景
や歴史的建造物のライトアップの光の利用がよく理解できた。昔は、函館山は
北海道とは陸続きではなかったそうだ。

　８分の上映が終わると、そのころには、ツアー客が団体でどんどん展望台に
上ってくる。私たちも展望台に上ると、函館ドック方向に、わずかの雲の切れ
目が見えてきた。これなら、もしやすればと、夜景の見えるレストランに向か
った。早く予約したせいか、一番、夜景が見えそうな席に案内された。

　やはり、元町エリアの教会の神様に、私たちの函館の夜景を見せてほしい
という願いを叶えてくれた方がいらっしゃるのだろう。山頂付近の雲は、流さ
れて、少しづつ、市街地を見せてくれる。ワインを楽しみながら、食事もメイ
ンディシュに近づくころ、奇跡とも言えるように、さっと雲がなくなった。神
様は、こんな、すばらしい劇的な演出をしてくれる、まさに、本当に万能なの
かもしれない。神を信じたことがない私も、この夜ばかりは、身の勝手を恥じ
るような気持ちであった。しばらくすると、また、雲で、覆われてしまった。

　日本の三大夜景とは、六甲山系の摩耶山掬星台から望む、神戸市から大阪市
への阪神間の夜景と、稲佐山から望む長崎市の夜景に、ここ函館山から望む、
函館市の夜景をいうそうだ。私は兵庫県出身であるので、何度か、六甲山に登
ったことがあり、ひいき目かもしれないが、その夜景は、阪神間の弓なりに広
がる曲線と、神戸港・大阪湾を行き交う船の輝きのスケールの大きさで、その
中でもぴか一のように思える。残念ながら、長崎の夜景を見る機会が無かった
が、ここ函館の夜景は、函館独特の地形がくっきりと浮かび上がって、更に、
通りを行き交う車や人が見えそうで、そして、漆黒の海の部分とのコントラス
トが鮮やかで、臨場感で見ごたえ十分である。

　最後を、この函館の夜にした今回の北海道旅行は、これだけでも、成功であ
ったと、自画自賛している。