「オーストラリアの４っの世界遺産を訪れる旅　９日間」

参考文献：
　　・「ＪＴＢ　ワールドガイド '０４　オーストラリア」
　　・「ＪＡＬＰＡＫ　パンフレット(11016)と旅行日程表」

　今回のオーストラリアの旅は、久しぶりの海外旅行で、５年ぶりに、パスポ
ートの取得から始まった。まとまった休暇をとれないとなかなか行けないもの
だが、今回は会社勤めの区切り目であったこともあり、通常の夏休みに、前に
１日、後に２日の休暇をとり決行した。
　慌ただしい準備段階と旅行中であったが、その中で気づいたこと、思い出に
なったことを、思いつくまま、まとめてみたい。

　５日間程度の会社勤めの通常の夏休みでは、せいぜいハワイ、グアム、バリ
が限度というところで、ここ数年は国内旅行を楽しんでいた。出雲、金沢・能
登、釧路湿原・知床とまだまだ行っていないところはたくさんあった。

　そんな中、カナダかオーストラリアに行きたいという強い要望があり、昨年
１０月に検討を始めた。カナダの自然は魅力であるが、単調かな、オーストラ
リアは冬になるし、コアラちゃんやカンガルー君に会いたいが、寒いんじゃい
やだなあとガイドブックをめくっていると、意外とオーストラリアは寒くない
のだ。（下記の月別気温参照）特に、赤道に近いケアンズなど泳げるんだと認
識を新たにした。行くならば、東海岸のケアンズ、ゴールドコースト、シドニ
ーを訪れるコースかなあと、そこまで辿り着いた。

　問題は、休みがとれるかどうか、最低でも８日間は欲しい。そんなことを考
えているうちに、６月になってしまった。しびれを切らしたパートナーが、こ
の夏はどこに行くのかと騒ぎだした。この時期、仕事の見通しもついたことか
ら、会社からお祝いの旅行券ももらえることだし、これで旅行に行くようにと
いうことが会社の意向であると解釈して、旅行パンフレットを探しまくった。

　そこに目に入ったのが、「オーストラリア３つの世界遺産を歩く８日間」で
あった。前年、知床に行って世界遺産に大いに関心を持っていた。これだと思
うや、旅行部に問い合わせると１２日からの日程だと取れると言うことで、で
きれば最初の訪問地で少しのんびりしたいという気持ちもあり、ケアンズでの
１日延泊をお願いするとこれもＯＫ。

　延泊すれば、飛行機、ホテルの日程が変わってくるが、そこはＪＡＬＰＡＫ
なんとか確保してくれた。そこから、慌ただしい旅行準備が始まった。

　会社がくれた旅行券、当然海外旅行に行けとは言っていない。この時期は高
いんだよなとぼやいていると、パートナーもできたもので、私もこれだけ旅行
券持ってるよ差し出す。当然だよな、言い出しっぺだからなと思いながら、感
謝の言葉を返す。それだけでは、まだまだ足りないので、なけなしの貯金から
金を下ろした。当然、パートナーと折半で。ただこのツアー、夕食が全然入っ
ていない。現地では、相当の出費も覚悟しなければならない。

　飛行機とホテル、そして現地主催会社の４種類の１日ツアーに現地スタッフ
のコアラ保護区、シドニー街歩きを組み合わせた、まさにこれがパッケージツ
アーいうものだというプラン。この中のグレート・バリア・リーフツアーは、
どうしても行きたいと思い、ケアンズを延泊して追加した。現地の出迎え・見
送りは現地スタッフがサポート、いろんな相談に、結局、３都市とも現地スタ
ッフの”きららステーション”を大いに活用した。

　問題は夕食、ご推薦のレストランだけでは面白くないので、ケアンズで最初
の夜をガイドブックで探した英国調パブレストランでおいしいビールが飲める
とあったので、行ってみるとあるべきところに店はない。しかたなく、近くの
フードコートで食事したが、パートナーはこれが不満だったようだ。

　ついでにもう一つ失敗、レイト・ナイト・ショッピングデーの木曜日、シド
ニー最大のフードコートを目指した。なんとか料理は注文できたが、アルコー
ルがない。お店の人に聞くと近くの酒屋で買ってきなさいということだった。
ガイドブックでは、アルコールも売っているかのように書かれていたが、別の
フードコートのことだったようだ。なかなか微妙な情報は現地に行ってみない
と分からない。ただ、こういう失敗も今は楽しい思い出の一つである。

　朝食は、部屋を出るのがおっくうなので、コンビニやスーパーで前日仕入れ
たパンやフルーツを食べたり、ホテルのルームサービスを利用した。オースト
ラリアは、とにかく量が多い。ルームサービスは１人前頼めば、小食な我々２
人の朝食として十分だった。

最後の夜は、ロブスターのお刺身を堪能

　ケアンズでの熱帯雨林ツアーの行き先の「ウールーヌーラン国立公園」って
どこにあるの。ガイドブックにも載っていない。インターネットで検索すると
新しいコースで、あまり知られていないところだとやっと分かった。「キュラ
ンダは、ケアンズに滞在する観光客が必ず訪問するといっても過言でない人気
スポットだ。」とある。そうなんだ、そこには行かなくて、ウールーヌーラン
に行くんだとちょっぴり不安になる。この旅行を企画した人も、結構大胆だな
あと変に感心したりする。

　実際に、ウールーヌーランに行ってみると、そのためかどうか、その日は、
２組のガイドを含めて５人のコンパクトなエコツアーになった。そして、とっ
ても素敵なガイドさんの満里子さんにもお会いすることができた。また、その
お蔭か、極めて家族的に歩くツアーを楽しむことができた。有名観光地で乗り
物に乗るのも楽でいいが、手作り的なツアーも結構楽しいものだ。ただ、ブラ
ンドが幅を聞かせるこの世界、キュランダなしのプランが来年も生き残られる
か、心配でもある。

　現地の主催会社のツアーには、日本人ガイドがつく。時として、日本語を話
せる現地人の場合もある。そんなガイドさんは、運転手でもある。ハイウエイ
は、制限速度は１００キロなんですよと言いながら、結構飛ばす。そして、マ
イクを頭にセットしてガイドを始める。向こうは、毎日のように行っているコ
ースなので、右の山はとか、左の方向にはとか説明しながらその方向を見なが
ら運転する。結構スピードを出しているので、こちらは、ヒヤヒヤで説明はほ
どほどでいいから、運転の方をしっかりお願いするねと思ったりもする。

　運転席の後ろの席は特別席で、ガイドもそこに座った人にまず声をかける。
それに相槌を打ってやるとガイドものってくるのかなと少し気をつかったりす
る。いずれにしても、同乗したメンバーは、みんなでツアーを作ることになる
ので、気さくに声を掛け合うと短時間でも親密になり楽しみも倍加する。そし
て、満里子さんのように結婚話の披露まで話が発展する。その満里子さんに、
ウールーヌーランツアーのホームページができたことをメールすると、アドバ
イスとねぎらいの言葉をいただいた。

　ガイドも仕事熱心な人がいる。これは、現地の人が環境にこだわって開発し
た製品ですよ現品を見せながら説明しだす。説明はいいんだけど、もう少しコ
ンパクトにやってくれないかな、昼食のために買い込んだ冷えたビールがあっ
たまちゃう、それに、これから昼食と説明があったので、腹の方はもうぐーぐ
ー鳴きだしてるよと叫びたくなる。このガイドさん、一通りの商品説明が終わ
らないと車を発進してくれなかった。

　ブルーマウンテンズツアーのガイドさんは現地人だったが、かって日本に住
んだこともある日本語が達者な男性だった。この人もハイウエイを４輪駆動車
でびゅんびゅん飛ばした。ブッシュウオーキングした後の昼食はバーベキュー
ということで、車から食材を下ろし準備を始めた。オーストラリアでは、ちょ
っとした公園にはバーベキューの設備がある。ステンレスのプレートは清潔そ
うで、下から電気で熱している。これは、だれでも利用でき無料だ。ガイドさ
ん、バーベキューは男の料理だと次々と料理の指示が出る。手伝わなければ、
食べさせてもらえないかと、野菜を炒め、ソーセージを焼き、パンを焼いて、
その上にソーセージ、トマトの輪切り、レタスに炒めた野菜を盛り合わせる。
ビールもちゃんと用意されていた。ブッシュウオーキングのガイドのケイコさ
んとも一緒に、すがすがしいユーカリの林に囲まれた公園でのバーベキューは
格別で話も弾んだ。

　このツアーでは、泊まるホテルはＦｉｘされている。ケアンズはリッジズ・
エスプラネード・リゾート・ケアンズのオーシャンビュー５階以上である。案
内された部屋は実に２０階、延泊した関係か、現地スタッフも驚いていた。ホ
テルから南太平洋が一望され、グレート・バリア・リーフのグリーン島もはる
かに見える。ケアンズの港から漁船や観光船が出入りする。そして何よりも朝
日が真正面から上がるのが気に入った。


グレート・バリア・リーフから上る太陽

　ゴールドコーストはクラウン・プラザ・サーファーズパラダイス[エルドラド
タワー]のオーシャンビュー１０階以上である。ここは１４階、オーシャンビュ
ーではあるが、ゴールドコーストの中心部に向いた方向で、確かに、海が見え
るがあまり視界は開けない。ただ、そのことが幸いし、オーストラリア大陸に
沈む夕陽を拝むことができた。この最上階２５階は、回転レストランで、ゴー
ルドコーストの夜景を楽しみながらの食事であった。


サーファーズ・パラダイスの高層ホテル群
　シドニーはフォーポインツ・バイシェラトン・ダーリングハーバー・シドニ
ーである。ダーリングハーバーに面して、船や海鳥を楽しめるが眺望は開ける
というほどではなかった。シドニーはビジネスの街、部屋には事務用の机やイ
ンターネットの接続口など装備され、幾分小振りなツインのベッドであった。

　すべてのホテルは、標準グレードではあったが、部屋は高層階のオーシャン
ビューを保証していた。ただ、街の中心部より歩けないことはないが若干離れ
ているポジションにあった。ホテルの選択もさまざまな視点がありえ、少し離
れていても眺望が開けていることがよかった。因みに、ホテルの階は、地上が
Ｇで２階から１、２と数えていく。ケアンズは、表示は１９、階は２０階。

　旅行準備の中で、現地通貨をどの程度用意するか、悩むところである。大体
の店で、クレジットカードが通用するので、それで事足りるということも言え
るが、現地通貨を全然持っていないと困る場合もある。その場合、現金がいい
のか、トラベラーズチェックがいいのか、調べると特に日本円のオーストラリ
アドルへの日本での両替率がよくない。トラベラーズチェックのレートは１オ
ーストラリアドル（Ａ＄）が８７．８８円の手数料１％に対し、現金は９５．
５８円だった。これは、オーストラリアドルは日本国内でほとんど流通してい
ないため現地から取り寄せるためだそうだ。そこで、Ａ＄５００のトラベラー
ズチェックとＡ＄６５の現金、日本円で５万円を銀行に用意してもらった。因
みに、現地の両替屋は、９１円程度、手数料なしで両替していた。

　シドニー空港で最後の買い物を免税店でし、支払いは手持ちのすべてのオー
ストラリアドルと不足分をクレジットカードで支払ったが、そのレートは８５
．９５円であった。ただ、そのクレジットカード、使っているときは、あまり
お金を支払う実感がないが、１ヶ月ほど経ってから、大きな金額の清算の通知
が来ると精神的によくない。

　オーストラリアは、約２万年前、孤立した大陸となった。その結果、動物た
ちは独自の生態系を気づき上げた。まさにコアラ、カンガルー、カモノハシな
どがその代表で、その生育を自然なまま保護しようと努力している。例えば、
ねこは、去勢しないと一般家庭では飼えないという。野良猫の生態系への影響
を防いでいるのである。動植物や食べ物の持ち込みは禁止され、その生態系を
守る姿勢は並ではない。

　いつまでも健康でいたいが、現実はそうもいかない場合がある。今回の旅行
直前、腰を痛めてしまった。幸いにも、２日間ばかりで、痛みはとれ、成田空
港から飛び立った。８時間のフライトでケアンズ空港に降りた。ここがオース
トラリアだとはやる気持ちを抑えてホテルにチェックイン。ところがなんのは
ずみか、足が引きつってしまい、その日は、一日自由行動であったことも幸い
し、ケアンズの街をいたわりながらの散策、休養ということで、夜には、痛み
もとれ、旅行期間中は再発することはなかった。

　帰国の翌日は、なんともなかったが、翌々日に、腰の痛みと左足のしびれが
出てきた。これはやばそうだと、医者に相談し整形外科の診察を受けた。思え
ば最後の日、ブルーマウンテンズのブッシュウオーキングでは、２００ｍの階
段をほとんど垂直に下りた時に、下半身に相当のダメージを受けたのかな。シ
ドニーからの帰国便、前に体格のいいおばさんがお座りになり、シートを倒し
て、その後の私は非常に窮屈だった。エコノミック症候群とかいうあれかな。
そんなことを思いながら診察を受けると。レントゲンではよく分からないから
ＭＲＩ撮影をしましょうということで、２週間も待たされた。その間、歩行も
ままならず、苦しい日々を送ったが、２週間も耐えていると、痛みも和らいで
くる。ＭＲＩ画像を見ながら医者は、手術することはありませんね、様子を見
ましょうということで、ろくな治療もなしに、ほとんど自然治癒で、大事に至
らなくなんとか普通の生活ができるようになった。

　とにかく、健康が第一、歳のことも考えて、無理のない計画で旅行すること
が何よりとの教訓を得た次第で、大きな代償をおみやげにしたツアーでもあっ
た。ただ、致命傷に至らなかったのは幸いである。