児童の詩集

『詩それはすなおな心』


おこられた

晃正
「ん。」
窓の外を見ていたら
先生に
「窓から乗り出すな。」
と言われた。
下校の時も
丸山君が言った言葉を
外に向かってまねして言った。
先生が
「足立君。」
とまた、どなった。
下を向いて黙っていた。

家庭学習の漢字ドリル

貴史
このごろ、漢字ドリルを見ると
やる気がなくなる。
最初は少しずつ進めてきたのに
別にたいしたことなかった。
今は、やるのは計算ドリルだけ。
漢字ドリルは進まない。
今日こそは、
漢字ドリルをやろう。
そう思って開く。
画数が多くてむずかしい。
また、後でやろうと後回しになる。
それっきりやらない。
もう少しで終わるのに。

あやまり

真梨亜
『ちょうせんじょう、ときめきクラブ』
放課後、残って手紙を書いた。
下山さんが
朝早く学校へ行き
黒板にはった。
みんながさわぎだした。
字でばれたのかな。
鈴木君が
「犯人がわかった。」
と言った。
もうだめだ。
男の子達が白い目でみる。
ときめきクラブなんて
つくらなきゃあよかった。
思い切って先生に
「みんなの前であやまりたい。」
と話した。
先生が
「わかった。」
と言った。
帰りの会で
「ときめきクラブなんて作って
ごめんなさい。」
顔を真っ赤にさせながら
言った。
みんなが拍手をしてくれた。
なみだが出るのをぐっとがまんして
席に着いた。

いたずら電話

美佳
「バーカ。」
「えっ。」
ガチャ。
プゥープゥープゥー・・・
電話が切られた。
気になった。
食事をしている時も
お風呂に入っている時も
気になった。
夜寝る時も
気になった。
朝になっても
気になった。

わすれもの

寿美
「寿美ー、ちょっと来なさい。」
お母さんに呼ばれた。
「最近、先生に
『忘れ物多い』
と聞いたけど、
ちゃんと持っていっている。」
「ちゃんと持っていこうとしても
すぐ忘れちゃうんだもの。」
「自分がだらしないからでしょう。
学校から帰ってきたら
すぐやればいいでしょう。」
私は
うなづいて自分の部屋にもどり
明日の荷物を点検した。

沙希
サーッ。
葉がくるくると回った。
まるでおどっているようだ。
いっしゅんだったけれど
私は見とれていた。

けんか

崇史
「あーくーまーをこえた。」
と変な歌を
鈴木君と門脇君が言ってきた。
「やめろよ。」
と言ったのに
まだ、言ってくる。
もう、がまんできなくなって
キックと体当たりをしたら
けんかになった。
あんなことしなきゃよかった。

じしん

菜緒美
グラグラグラ・・・ 
つくえがゆれた。
急いでつくえの下にもぐった。
やだなあ。
早くおさまればいいのに。
少しどきどきする。
やっとおさまった。
お兄ちゃんがテレビをつけた。
「もう、つくえの下から出たら。」
と言った。
「ううん。もうちょっと。」
私はしばらく、つくえの下にいた。

ぞうきんがけ

孝和
「いいや、足でやっちゃえ。」
友達が注意したけど無視した。
先生が
「足でやったら倍だ。」
と言った。
けど、足でやった。
先生は見にこなかった。

けんか

百合子
「えっちゃん、いけないんだよ。」
私が言った。
えっちゃんは
何か
考えながら
思いついたように
「家庭科の席のこと。」
私はこくりとうなづいた。
決めた席を入れかえたのだ。
えっちゃんは
「紙に書いちゃったよ。」
と言う。
「でも、変えた方がいいんじゃない。」
「もう、いいよ。」
と言って行ってしまった。
私は関係ないのに
よけいなことを言ってしまった。
えっちゃんに追いつこうと走った。
「さっきのことは気にしないでね。」
と言うと
「すんごい気にするよ。」
と言って行ってしまった。
私は首をかっくりおろし
一人でゆっくり歩いた。

あやまり

絢子
「ごめんなさい。」
片桐さんが言った。
私と片桐さんは
変な手紙をクラスに
出してしまったのだ。
私もいわなくちゃ
でも・・・・
ドキドキ
胸にいやな感しょくが
伝わってくる。
よし
「ごめんなさい。
本当は私がやったのです。」
いっせいに拍手がおきた。
胸のいやなドキドキが一気に
おさまった。

検定試験

勇作
「かけ算用意始め。」
合図がかかった。
手がふるえて
なかなか動かない。
十四問以上できた。
問題の割り算にきた。
これが十四問以上できれば・・・
シーンとして
そろばんの音しか聞こえない。
急いで数えたら
十四問以上できた。
これで見取り算が安心してできる。
いつの間にかふるえていた
手が止まっていた。

自信がついた

ゆり
なかなか手が上げられない。
先生が手をあげる
プリントを配った。
そのとたん手を上げた。
「はい。」
先生にあてられた。
どきどき
思いきって答えた。
あてられてから
どんどん手を上げた。
「はい。」
えがおでプリントに
線を引いた。

マラソン大会

五郎
「ゴー。」
とかんとくが言った。
おもいっきり地面をけった。
芳賀君といっしょに走った。
だんだん苦しくなってきた。
芳賀君に
「そんなに早く
走らなくていいよ。」
と言ったら
早く走っていってしまった。
芳賀君をぬかすぞ。
芳賀君に追いついた。
芳賀君がゆっくり走っていた。
五年生で一位だった。
あせがだらだら出ていた。

ぞうきんをなくした

「あっ、ぞうきんがない。」
つくえの中にない。
落とし物の箱の中にない。
ぞうきんがないとそうじができない。
しょうがないから
つくえを運んだり
ごみを捨てたりした。
そうじが終わっても
終わったという感じがしなかった。

つぶしてしまったあり

大記
プチップチプチッ
「あっ、やっちゃたよ。」
罪もないありの軍隊を
ふみつぶしてしまった。
しまった。
このありは仲間のために
食料を持っているぞ。
仲間のために
取りにいったのかな。
ふんでしまった自分が
馬鹿に思える。
ありでもちゃんと
命をもっているのに。
ぼくは
ありの軍隊をふみつぶしてしまったのだ。
「ハアー。」
家に帰ってからも
ずっと心がびくっとしていた。

詩が書けない

慶輔
い残りしてもただ時間がたつだけ。
先生に
「家で書いてきなさい。」
と言われた。
家に帰ってもただ時間がたつだけ。
お父さんが
「早く風呂に入ってねろ。」
と言った。
しかたがないから
風呂に入ってねた。
次の日
「まだ、詩を書かなかったのか。」
先生にどなられた。
ぼくはただ下を向いて
せっきょうを聞いた。
詩を書けるといいなあ。

そうじ

陽平
「放課後残って
掃除をしなさい。」
先生が言った。
宿題を忘れて
持ってこなかったためだ。
ぞうきんがけを二往復してから
友達とぞうきんレースをした。
たおれてもやった。
掃除が終わると
ひたいからあせが流れていた。

ごかい

悦代
テスト直しの時、長友君が 
「蓮見のうつしている。」
と言いだした。
そのとたん
みんながふり向いた。
「はっ。」
とすると
先生がこわい顔をして
「人のをうつしちゃ
意味がないでしょう。」
と言った。
私はうつしてないのに。
下を向きながら
手をぐっとにぎりしめ
なみだをこらえた。

買い物

法子
「今日は、
お母さんの物を買うからね。」
何か私の物を買ってもらえるかな。
ついて行った。
「ねえ、何か買ってよ。」
「だめだめ、
お母さんの物を買いに来たんだから。」
見ていたらお母さんの服ばっかり。
荷物がとても多い。
お母さんが
「まだ買うから持っていて。」
二階に行ったら、
家庭用品をまた買った。
私は両手に荷物を持ちながら
家へ帰った。
あせがだらだら出ていた。

まさかの自殺点

翔太郎
「ピー、始め。」
小林がジャンプボールにせった。
ボールは目の前にこぼれている。
ぼくがボールを取った。
「ヘイ、ヘイ、
こっちにボールをよこせ。」
とよびかけてくる。
ぼくは、
ボールを持って走り出した。
点が入ればいいんだ。
ゴールへ向かった。
ボンボンボン、シュート。
入ったあ。
「何やっているんだ、鈴。」
自殺点だった。
顔が真っ赤になった。

作文が書けない

亜美
頭の中が真っ白
考えがうかばない。
指先がちょっと動いても
また、止まってしまう。
十時十五分前。
「もう、ねるよ。」
お母さんが言う。
まぶたが下がってきた。
十時五分前。
終わった。
体の力が
一しゅんにしてぬけた。

犬の散歩

直輝
お母さんの連れていた犬が 
かべに寄りそって
逆立ちをしながら
おしっこをした。
めすなのに
どうしてこんなことするのだろう。

ぼやさわぎ,

麻莉子
「えーっ。」
そんなことが本当に
あったのだろうか。
てっきり
もっと向こうの家だと思ったのに。
よりによって
私の家のとなりが
もう少しで
火事かと思うと
せすじが寒くなる。
「まどが二十センチ
開いていなかったら
けむりが出てたのが
わからなかったのよ。」
お母さんが言う。
まだ、顔がこうふん気味だ。
まどを開けるとこげくさかった。
また、せすじが寒くなった。

むずかしい問題

浩子
「教えてあげようか。」
とお母さんが言う。
分数の計算が解けない。
「十二分の二は約分はできるから
約分するんだよ。・・・」
やさしく教えてくれた。
やっと分かった。
他の問題も
手が止まらず
えんぴつが進んだ。
調子に乗って
また、計算問題をやった。
時間がかかるかなと思ったのに
五分でできた。

算数のプリント

美紀
「お母さん、この問題教えて。」
と言った。
「どの問題わからないの。」
「ここの(3)と(7)がわかんないの。」
「これをかけ算して
答えが出たらたして
約分できたらやって
それで終わり。」
やっと問題ができた。
お母さんに見せたら
「これ、ちがうじゃないの。」
そんなに
きびしくどならなくてもいいのに。

ひいおばあちゃんがころんだ

佑季
ガシャ。
私は話をやめた。
上から声がする。
行ってみると
エレベーターから足が見える。
よく見ると
ひいおばあちゃんたおれて
「助けて。」
と言っている。
お兄ちゃんをよんだ。
足を動かすと
「いたいからやめて。」
と言った。
お兄ちゃんは
「あっ、そう。」
と言って
自分の部屋に行ってしまった。
「足いたむ。」
と聞くと
「うん。」
と言う。
どうしょう。
何をしてあげればいいのか。
ひいおばあちゃんの手をにぎってあげた。
おばあちゃんが来た。
「病院に電話したから、
もしかしたら
入院かもしれない。」
と言う。
救急車が来てひいおばあちゃんが乗った。
私は救急車をずっと見送っていた。

かぜをひいたおかあさん

あぁ、つかれる。
食器は洗ったけど
テーブルの後片付けが
すんでいない。
もう、やだやだ。
よくおかあさんやっているなあ。
「いたい。」
手を見るとかさかさしている。
「終わった。」
肩をたたいて
お父さんが言った。
「うん。」
にっこりして答えた。
「ありがとう。」
お父さんがやさしく言った。
明日もやろうと思った。

お兄ちゃんと大げんか

寛之
「いてっ。」
お兄ちゃんがぶってきた。
ただ悪口を言ってきたから
「うるせいなあ。」
と言っただけなのに
仕返しをしに行ったら
「やめろよ。」
と言った。
「そっちが悪口を言ったんだろ。」
と言い返した。
また、ぶってきた。
なにもそんなにぶたなくても
いいのに。
部屋でつくえをけった。

おこられた

慎吾
家に帰って
ランドセルを放り投げた。
お母さんが来た。
まずい、おこられる。
「ランドセルを片付けなさい。」
ランドセルを片付けようとしたら
「宿題は何。
どうせ、家庭学習でしょう。」
「家庭学習とわかっているなら
なんで・・・。」
「たぶんそうだと思ったから
言っただけでしょう。」
ぼくは
だまってボールを持って
サッカーをしにいった。

高とび

恭平
とべるかなあ。
胸がどきどきしている。
バーを落とさないかなあ。
一メートルなんかとんだことがない。
ぼくの番だ。
思い切り走った。
「やったあ。」
思わず声をあげた。
気持ちがすっとした。

本当のことを言いたい

博太郎
「宿題やった。」
お母さんにうそをついた。
今さら、
本当のことは言えない。
げんこつがぼくの心を
どんどんなぐる。
胸がはちきれそう。
だれか
本当のことを
言わせてください。

おこられた

慶太
「今日、理科の教科書
わすれたでしょう。」
母が言った。
ぼくはだまって無視した。
「ね、本当にわすれたでしょう。」
「うん。んんん。」
「ほら、言ったでしょう。
明日の用意が終わった。
ちゃんとわすれ物しないように
しなさいって言ってるでしょう。」
びくびくしながら
明日の用意をした。
ランドセルの中を
よーく確かめた。
「まったくゲームばかり
やっているから。
少しは考えなさい。」
ぼくは、
目になみだをためたまま
勉強をした。

そろばんの検定試験

天智
「よーい、始め。」
わかんないところをとばして
先に進む。
かけ算には自信がある。
割り算は二十けたなので
心配だ。
見とり算は十までできた。
やっと終わって
ため息をついた。
ドアを開け
報告がでるまで
待ちながら
ジャンプして階段を下りた。

母のかぜ

朋子
「ぐぐぐ。」
帰って来たら
母が
また、はいてる。
この間から
三十九度近い熱を出して
立つとはくので
病院へも行けない。
家事を姉と私でやることになった。
母がいないとなにかと
いそがしい。
おさら洗い
洗たく物たたみ
部屋や階だんの掃除
早く治ってほしいなあ